天馬ハルが緊縛講習会で大切にしていること「講習でもコミュニケーションを!」

天馬ハル

皆様こんにちは、天馬ハルです。

今回は、私が主宰する幻想縄会緊縛講習会についてをテーマとしたコラムを書かせていただきました。

読んでくださる皆様には、ほんの少しの間お付き合いいただければと思います。

縛りたい人も縛られたい人も意外と多い昨今、緊縛講習会と一口に言っても、実に様々な場所で様々な内容のものが開催されています。

また「緊縛事故」という言葉もだいぶ広まったため、見よう見まねの縛りに自ら不安を覚え、事故を起こさないように習いに来たという方も増えているように感じます。

私が主宰している緊縛講習会では、

・再現性の高い講習
・極力人間を縛ってほしい
・講習でもコミュニケーションを!

という考え方を軸として指導を行っています。

具体的にどういうことなのか、それぞれ少し細かく書いていきましょう。

再現性の高い講習

ここで言う再現性とは、「いざ受け手さんと向き合う状況になった時、自信を持ってひとりで縛れる・相手を不快にさせない縛りが出来る」ということです。

習ったはいいものの、家に帰ると細かいところやコツが思い出せない……ひとりでやってみたけど何か違う気がする……というのは、意外と講習会のあるある話ではないでしょうか。

幻想縄では縛り方の手順だけでなく、上手くいかなかった時になぜそうなったのか?そうならないためのポイントは何か?ということを教えながら、覚えるまで繰り返しを徹底することで、理解度が深まり再現性の高さにつながっていくと考えています。

違う場所で講習会に参加した経験がある方が幻想縄の講習会に参加して、「縛り方や理屈をこんなに細かく教えてるんですね」ということを仰る方も多いです。

お互い時間を使って教えるからには、皆さんがやりたいことの役に立つ講習を行いたいのです。

そのぶん細かなところまで指導するので厳しいと感じる方もおられますが、必ず上達させます!という意気込みの裏返しなのでどうかご容赦くださいね。

極力人間を縛ってほしい

パートナー同伴でないと参加出来ない講習会や、おひとりで参加される方はトルソーで練習という講習会も多いと聞きます。

幻想縄の講習会では、おひとりでしか参加できない方にも極力人間を縛ってほしいと考えています。

縛り方の手順をなぞるだけの講習であればトルソーで十分ですが、トルソーは「痛い・不快・気持ちいい」を教えてくれません。

では幻想縄の講習生さんは誰を縛っているのでしょうか?

答えは、幻想縄サロンに遊びに来てくれている受け手さん達が協力してくれているのです。

幻想縄の縄筋が好きで「それを真面目に学びたいという人ならお手伝いしてもいいな」と感じてくれた方達なので、講習会では各々が縛り手さん達に感じたことを伝えてくれています。

受け手さん達に体を貸していただいている以上、常に私自身が見ているのはもちろん、時間を区切って講習モデルさんの体を休ませる時間を作る・縛る前には必ず肩周りのストレッチを行うなど、無理のない範囲で協力していただいています。

講習でもコミュニケーションを!

当たり前のことですが、先述の講習モデルさんは生身の人間です。

それは分かっていても、ひたすらトルソーと同じように縛っていると相手はどう思うか?今の自分の行動や言動で相手がどう感じたか?というところを深く考える方は意外と少ないのです。

出来ないことを出来るように勉強に来ているのですから、そんなつもりはなくても不快なこと痛いことをしてしまうことがあります。それ自体は何も悪いことではありません。

言葉に出して都度聞いてみることは、あなたのことを気にしていますよというサインにもなります。

また、言葉だけではありません。手に痺れが出ているなど体に何かあったのを感じている時に「大丈夫?」と聞かれても、相手に気をつかってつい「大丈夫」と返してしまう受け手さんはたくさんいます。

さて、これを読んで「じゃあ縛る側はどうしたらいいんだ」と思ってしまいませんでしたか。

さて本当に大丈夫かなと確認したい時は、口でも質問しながら、じっくりと受け手さんの体の動きを観察してみてほしいのです。

手が痺れている・違和感がある場合は指や手をしきりに動かすことが多いです。後手を解いたあと肩を回すなどしていたら、肩に痛みや違和感を感じている可能性があります。

些細なことに見えるかもしれませんが、受け手さんの体の動きは時に口より雄弁です。

先述の極力人間を縛ってほしいというのは、こういう部分にもつながってきます。講習会という第三者の目があるところで、そういう変化を感じたり聞き取ったりする力を養ってほしいのです。

さて、ここまで幻想縄会の講習会のことについて書いてきましたが、どこの講習会にも共通していると私が考えることをひとつ、締めくくりとして書いておきたいと思います。

それは、「何度講習を受けて練習しても、誰に習っても、緊縛事故は100%回避できるものではない」ということです。

スマホなりパソコンなり、これをご覧になっている機械ですら誤作動を起こしたり故障もするのですから、人間に100%なんてあり得るでしょうか?

これを読んでいる方の中には、これまで事故を起こしたことがないという方もいるでしょう。

それは確率の問題でたまたまそうでないだけか、中には事故を起こしているけれどお相手から言われていないだけ……というケースもあるのではないでしょうか。

後者を防ぐためにも、人間を縛ることでコミュニケーションを取ること、相手の体の動きに注目することに慣れておくのは非常に大事だと幻想縄では考えます。

事故を起こしたいと思って起こす縛り手さんはいませんよね。100%とはいかなくても、少しでも事故の可能性を減らす努力は出来るのです。

プロの緊縛師として、またひとりの縄好きとして、誰かを縛って遊びたい人達に緊縛事故を少しでも減らすための技術と知識を身につけてほしいと切に願っています。

天馬 ハル

天馬 ハル

横浜にて幻想縄会を主宰。 縛師とし、緊縛の映像やライブ、ワークショップなどイベントを行う。 オンラインサロン369、YouTube「天馬ハルと翼裕香の縄縛TV」でも活躍中。

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